6-1.新しい会社法の概要について |
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平成18年5月1日より、新しい「会社法」が施行されました。この法律は、現在株式会社や有限会社などの会社組織で理容室・美容室を経営されている方はもちろん、これから法人化を検討されている個人事業主の方にも、非常に大きな影響を与える内容となっています。
今回は、この新しい「会社法」の成立の背景と、その概要について説明します。
《1:新しい会社法成立の背景》
まず、平成18年に施行された「会社法」は、従来の「商法」や「有限会社法」とは別に作られた、全く新しい法律です。
「えっ、これまでも本屋に『会社法』というタイトルの本があったのを見たことがあるぞ!」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、実はこれまでには、ズバリ「会社法」という名前の法律は無かったのです。会社法が制定・施行される前までは、会社に関する法律は、「商法の第2編」や「有限会社法」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」など、あちこちにバラバラに定められていました。従来は、これらを便宜上ひとまとめにして「会社法」と呼んでいただけなのですね。
これまで会社について定めていた法律のメインである「商法の第2編」は、明治33年にできた古い法律でした。そのため、だんだん時代に合わなくなって、あちこち改正したり、追加で法律を作ったりした結果、上記のように、会社に関する法律がバラバラに定められていて、しかも、その条文が漢字カタカナ混じりで書かれていたため、法律のプロでさえ、非常に読みにくいものになっていたのです。
言うまでもなく、「会社」というのは、今や私達の日常生活においても、無くてはならないほど身近な存在です。しかし、その「会社」に関して定めた法律は、ツギハギだらけの状態だったのです。そこで、平成18年になってようやく、最近の社会経済情勢の変化にも対応するため、それまでの会社に関する法律の内容を体系的かつ抜本的に見直し、条文も漢字ひらがなまじりに改め、まったく新しい法律として「会社法」が誕生したのです。
また、その内容も、主に中小企業に関する部分を中心に、従来とは一新されました。従来の「会社法」では、それこそ世界に冠たる上場企業から、町中の家族経営の床屋さんまで(失礼!)、およそ「株式会社」の形態をとっているのであれば、基本的には同じルールによって縛られているという面がありました。その結果、会社の実情と、法律の内容がかけ離れているような事態が生じていたのです。小さな会社にとっては、たとえ法律を破るつもりが無くても、実際問題としてすべて守っていたら大変なコストや労力がかかり、「守りたくても守れない」面もあったのですね。
しかし、新しい「会社法」では「定款(ていかん)自治の原則」といって、「自分の会社のルールは、自分で決められる」度合いが、従来とは比べ物にならないほど増えています。このことは、会社経営の自由度が増す一方で、自己責任の度合いも大きくなることを意味します。言い換えますと、「自分の会社のルールは自分で決められる。」ということは、その「自分の会社のルール」の定め方を誤ると、取り返しのつかない事態になるおそれがあるということでもあるのですね。
したがって、現在または将来会社組織でお店を経営される方は、会社法についての知識をぜひ知っていただき、活用していただきたいと思います。
《2:新しい会社法の概要》
新しい会社法の要点のうち、中小企業に関係のありそうなものをいくつかピックアップしてみます。
1:株式会社の機関設計の変更(非公開会社の場合)
- 非公開会社(発行している全部の株式について、その譲渡を制限している会社)については、これまでの「取締役は3人以上置かなければならない」という規制が撤廃されて、取締役は1名でもOKとなりました。
- 非公開会社では、取締役会の設置が任意となりました。
- 取締役会を設置しない会社では、監査役の設置が任意となりました。
2:株式会社の取締役・監査役についての変更
- 非公開会社(発行している全部の株式について、その譲渡を制限している会社)では、定款に定めることにより、取締役や監査役の任期を最大10年まで延長することができるようになりました。
- 破産者でも取締役に就任できるようになりました。
- 取締役の解任が、それまでの「特別決議」から、「普通決議」で出来るようになりました。
- 取締役の責任が、全般的に軽減されました。
3:会計参与制度の創設
- 主として中小企業の計算書類の正確性を向上させるため、公認会計士(監査法人)又は税理士(税理士法人)が、取締役等と共同して計算書類を作成し、その計算書類を取締役等とは別に保管・開示する職務を担うという、会計参与制度が創設されました。設置は任意です。
4:株式会社の設立手続きの簡素化
- 株式会社の「発起設立」の手続きが、これまでよりも簡素化されました。
- 類似商号の規制が大幅に緩和されました。
5:最低資本金制度の見直し
- 株式会社の最低資本金制度(旧法では株式会社につき1000万円,有限会社につき300万円)が撤廃されました。 なお、これまでも「特例」として、資本金1円での株式会社設立が認められていましたが、今後は「恒久的に」資本金1円での株式会社設立が認められることになります。
6:株式に関する規定の変更
- 発行することができる株式の種類が、これまでよりも多くなりました。
- 相続人からの株式買取請求の制度が新設されました。
- 株券は発行しないことが原則となりました。
7:有限会社制度の廃止
- 有限会社の新規設立ができなくなりました。
- すでに設立されている有限会社については、「特例有限会社」として、そのまま存続できます。(株式会社への変更も可能です。)
8:合名会社・合資会社の変更と、新たな会社類型(合同会社)の創設
(この3つを総称して「持分会社」といいます。)
- 社員1名の合名会社が認められるようになりました。
- 合資会社の有限責任社員も、業務執行社員に選任できるようになりました。
- 株式会社・有限会社から持分会社への組織変更、持分会社から株式会社への組織変更が認められるようになりました。
- 「合同会社」という、新しい形態の会社の設立が認められるようになりました。
次節より、それぞれの内容を詳しく見ていくことにします。
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