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週刊「理容室・美容室の経営法務」 第52号 2006年11月8日発行
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<発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史>
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★☆理美容室における個人情報の保護について(11)☆★
みなさま、こんにちは! 司法書士・行政書士の森です。
今週も、どうかよろしくお願いいたします。
今回のテーマは「保有個人データに関する事項の公表について」です。何や
ら難しそうなタイトルですが、実は今回のテーマは、個人情報取扱事業者が、
まず最初に手を付けなければいけない事項です。
5,000人を超える顧客名簿やカルテを持っている美容室等の経営者の方は、
必ず読んでおいて下さい。
さて、「個人情報」と「個人データ」の違いは、すでに第43号で書きまし
たが、ここではさらに、「保有個人データ」という言葉が出てきます。
この「保有個人データ」というのは、個人情報取扱事業者が、開示や内容の
訂正、追加又は削除などを行う権限を有する個人データのうち、6ヶ月を超え
て継続利用されるものをいいます。
例えば、美容室が顧客カルテを電子化する際、データ処理会社にデータの入
力を依頼して、その顧客カルテを預けている場合には、この顧客カルテの個人
データは、美容室にとっては「保有個人データ」となりますが、データ処理会
社にとっては「保有個人データ」とはなりません。
なぜなら、通常はその顧客カルテのデータを開示したり、内容を訂正したり
追加、削除したりする権限を有しているのは委託した美容室であって、受託し
たデータ処理会社ではないからです。
早い話、その個人情報取扱事業者が管理権限を持っている個人データのうち
6ヶ月を超えて継続的に持っているものが「保有個人データ」だと考えていた
だければ結構です。
個人情報保護法では、「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」の3
つの言葉を明確に使い分けしています。それぞれについて当てはまるルールも
異なりますので、ここはしっかりと区別する必要があります。もういちど簡単
におさらいしますと、
1.「個人情報」:生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別すること
が出来るもの。
2.「個人データ」:個人情報がパソコンやバインダー・ファイルなどによっ
て検索できるように整理されたもの。
3.「保有個人データ」:その個人情報取扱事業者が管理権限を持っている個
人データのうち、6ヶ月を超えて継続的に持っているもの。
となります。
「個人情報」>「個人データ」>「保有個人データ」
という関係です。
名刺を例にしますと、受け取った名刺は、未整理のまま箱に放り込んである
うちは単なる「個人情報」ですが、パソコンに入力したり、ファイルに入れて
整理すると「個人データ」となり、さらにそれを6ヶ月間継続利用すると「保
有個人データ」になる、ということです。
ただし、以下の1〜4は「保有個人データ」には含まれません。
(理美容室ではあまり関係ない話ですので、さらっと読み流してください。)
1.その個人データの存否が明らかになることにより、本人又は第三者の生命
や身体、又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの
(例:家庭内暴力、児童虐待の被害者の支援団体が、加害者及び被害者を
本人とする個人データを待っている場合)
2.その個人データの存否が明らかになることにより、違法又は不当な行為を
助長し又は誘発するおそれがあるもの
(例:いわゆる総会屋等による不当要求被害を防止するため、事業者が総
会屋等を本人とする個人データを持っている場合)
(例:いわゆる不審者、悪質なクレーマー等からの不当要求被害を防止す
るため、その行為を繰り返す者を本人とする個人データを保有して
いる場合)
3.その個人データの存否が明らかになることにより、国の安全が害されるお
それ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若
しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの
(例:製造業者、情報サービス事業者等が、防衛に関連する兵器・設備・
機器・ソフトウェア等の設計、開発担当者名が記録された個人デー
タを保有している場合)
(例:要人の訪問先やその警備会社が、当該要人を本人とする行動予定や
記録等を保有している場合)
4.その個人データの存否が明らかになることにより、犯罪の予防、鎮圧又は
捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの。
(例:警察からの捜査関係事項照会や捜索差押令状の対象となった事業者
が、その対応の過程で捜査対象者又は被疑者を本人とする個人デー
タを保有している場合)
次に、「保有個人データ」に関するルールを、順番に見ていきます。
A:保有個人データに関する事項の本人への周知
個人情報取扱事業者は、「保有個人データ」に関し、次の1〜4の事項を、
「本人の知り得る状態」(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)
に置かなければならないとされています。
1.個人情報取扱事業者の氏名又は名称(社名・店名)
2.すべての「保有個人データ」の利用目的(※一定の場合を除く)
3.「保有個人データ」の利用目的の通知、「保有個人データ」の開示に係る
手数料の額(定めた場合に限る)、および「開示等の求め」の手続の内容
4.保有個人データの取扱いに関する苦情および問い合わせの申出先
(個人情報取扱事業者が認定個人情報保護団体に所属している場合は、そ
の団体の名称及び苦情の解決の申出先)
「本人が知りえる状態」とは、ウェブ画面へ掲載したり、パンフレットを配
布したり、本人の求めに応じて遅滞なく回答を行うことなど、本人が知ろうと
すれば、知ることができる状態に置くことをいます。常にその時点での正確な
内容を本人の知り得る状態に置かなければならず、事業の性質及び個人情報の
取扱状況に応じて、合理的かつ適切な方法によらなければなりません。
○「本人の知り得る状態」に該当する事例
1)問い合わせ窓口を設け、問い合わせがあれば、口頭又は文章で回答できる
よう体制を構築しておくこと。
2)店舗販売において、店舗にパンフレットを備え置くこと。
3)電子商取引において、問い合わせ先のメールアドレスを明記すること。
ちなみに、第51号のところで登場した「本人が『容易に』知りえる状態」
とは、微妙に異なります。
普段から問い合わせ対応が多い事業者の場合には、ウェブ画面へ継続的に掲
載する方法を採用すれば、「本人が『容易に』知りえる状態」と「本人が知り
える状態」の両方の基準をクリアできるので、実際にこの方法を採用している
事業者は多いです。
2.の(※一定の場合)とは、次のような場合です。
1)利用目的を本人に通知し又は公表することにより本人又は第三者の生命、
身体、財産その他の権利利益を害するおそれかある場合
2)利用目的を本人に通知し又は公表することにより当該個人情報取扱事業者
の権利又は利益が侵害されるおそれがある場合
3)国の機関等が法令の定める事務を実施する上で、民間企業等の協力を得る
必要がある場合であり、協力する民間企業等が国の機関等から受け取った
個人情報の利用目的を本人に通知し又は公表することにより、当該事務の
遂行に支障を及ぼすおそれがある場合
3.の「開示等の求め」とは、保有個人データの利用目的の通知、保有個人
データの開示、保有個人データの内容の訂正、追加又は削除、保有個人データ
の利用の停止又は消去、保有個人データの第三者への提供の停止の求めをいい
ます。その内容については、次回以降で詳しく触れていきます。
B:保有個人データの利用目的の通知
個人情報取扱事業者は、本人から、その本人に関する保有個人データの利用
目的の通知を求められたときは、遅滞なく、本人に通知しなければならないと
されています。
ただし、次の1〜4の場合には、通知は不要です。
1.個人情報取扱事業者が、「保有個人データ」を「本人の知り得る状態」に
しているため、保有個人データの利用目的が明らかである場合
2.利用目的を本人に通知し、又は公表することにより、本人又は第三者の生
命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
3.利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業
者の権利又は利益が侵害されるおそれがある場合
4.国の機関等が法令の定める事務を実施する上で、民間企業等の協力を得る
必要がある場合であり、協力する民間企業等が国の機関等から受け取った
保有個人データの利用目的を本人に通知し、又は公表することにより、本
人の同意を得ることが当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合
なお、以上の理由により、通知しない旨を決定したときにも、遅滞なく、本
人に「通知しない」旨の通知しなければならないとされています。
次回は、保有個人データの「開示等の求め」について見ていきます。
(次号につづく)
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<ご注意>
当メルマガの記事は、法律の専門家では無い方を対象に、なるべく解り易く
読んで頂けることを基本コンセプトにしております。したがって、内容の厳密
さという点では、多少いたらない点もございます。
実際にこの記事に書かれているようなトラブルを抱えている方につきまして
は、当事務所もしくは他の法律専門家の方に、個別に相談されることをお勧め
いたします。
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<編集後記>
昨日は、全国的に悪天候だったようですが、みなさまのところでは、いかが
でしたでしょうか?
金沢市内でも、みぞれが降り、風が吹き荒れ、かなりの悪天候でした。
今朝は一転しておだやかな天気でしたが、急に寒くなりましたね。寒がりな私
にとっては、早くも暖房器具が必要なシーズンに突入です。
理美容業界にとっては、統計上この季節は一年でもっとも「暇」な時期だと
か? みなさまのお店では、いかがでしょうか?
実は、こんな時期こそ、新しいメニューを研究したり、経営や法律の知識を
仕入れるチャンスかもしれませんね。
それでは、次号もよろしくお願いいたします。
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○発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史
○毎週水曜日発行 関連サイト http://www.ribiyou6pou.com
○本誌に掲載した記事内容の無断転載・転用・転送は一切お断り致します。
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